キャットフードのディハイドレートって何?デメリットはあるの?|ニャン太の気になる

キャットフード

こんにちは!獣医師のニャン太です!

ディハイドレートという言葉、最近よく目にしませんか?最近キャットフードのパッケージに書いてあったので気になり始めています。ここ数年で注目されているようです。

私は獣医師ですが猫3匹の飼い主でもあります。(トイプードルも4匹飼っています)

先日はじめてこのキャットフードを購入しました。これです。

オリジン「キャット&キトゥン」

ご存知ですか?オリジンの「キャット&キトゥン(キティ)」です。先日病院に来られた飼い主さんから評判が良いという話を聞いたのでさっそく買ってみました。

私はペットフードにはこだわりがあります。我が家のワンコ、ニャンコにはより美味しく、より安全な食事をしてもらいたいですからね。

いつもペットフードは裏面を見てしまいます。オリジン「キャット&キトゥン」裏の表示はこうなってます。

オリジン「キャット&キトゥン」裏

拡大してみると、いたるところにディハイドレートの文字が!

オリジン「キャット&キトゥン」裏拡大

 

出ました。ディハイドレート。ディハイドレートって何でしょう?

気になったので調べてみました。

ディハイドレートとは

ディハイドレートという英語を直訳すると「脱水する」「脱水されたもの」という意味です。”dehydrate”と書きます。「de〜」が「〜の逆、反対」、「hydrate」が「潤す、潤ったもの」という意味になります。「潤す」の「逆」で「水を抜く=脱水する」ですね。

余談ですが、私は時々仕事でカルテに「dehydration」と書きます。これは「動物に脱水症状がある」という意味のコメントです。このdehydrationもディハイドレートがもとになった言葉ですね。

ややこしいですが、ジハイドレートという言葉もあります。”dihydrate”と書きます。化学で使う表現です。「di〜」は「〜×2」ということです。化学でhydrateは水分子がくっついていることを意味します。ジハイドレートは2個水分子がくっついているという意味です。これはディハイドレートには関係ないので理解できなくても大丈夫です笑

話が脱線してしまいました。ディハイドレートとは脱水されたものという意味でしたね。でも食品のディハイドレートにはもっと深い意味があります。

ディハイドレート=低温風乾燥

広い意味ではディハイドレートは水分をとばした乾いたものを意味します。天日干しの魚の干物やドライフルーツ、ローストされたアーモンド、フライドポテトも水分をとばしたものですね。

そんな中で食品のディハイドレートという表現には「ローフード」の意味合いがあります。”raw food”つまり非加熱食品です。

”raw ~”は「生の~」と訳されることが多いですが、実際は「加熱調理をしていない~」という意味です。

食材を加熱することで水分が少なくなり、長持ちするようになります。一方で加熱のデメリットとして、味が変わってしまう、熱に弱い酵素やビタミンが失われる、たんぱく質が変性してしまう(発がん性物質のアクリルアミドなど)などがあげられます。

高温で水分を飛ばすような食品の加工は、味や栄養素を損ねてしまうだけでなく体に有害な物質を発生することがあります。

最近、コーヒーと発がん性物質のニュースが話題になりましたね。コーヒーも生の豆を高温で焙煎することで水分をとばしています。

コーヒー飲んじゃダメ?コーヒーにガンの警告!?米スタバの裁判と発がん性物質【追加あり】|ニャン太の気になる

フリーズドライとは違う?

低温乾燥と聞くと「フリーズドライ」を思い浮かべませんか?

フリーズドライとは「真空凍結乾燥」という加工法です。マイナス30度で食材を一気に凍らせて、空気を抜いて真空状態にすると食材の水分だけが抜けます(水の「昇華しょうか」といいます)。

フリーズドライに似た乾燥法は意外と古くから標高の高い山間の地域で使われていました。日本では寒天や高野豆腐が有名ですね。寒ざらしという方法です。最近は知らない人も多いかもしれません。

で、この「低温」という言葉がややこしいんです。冷たいとか寒いとか、そういう印象を受けますよね。

でも日本語の「低温」は「温かいけど高温ではない」という意味もあるんです。ん?

「低温やけど」という言葉があります。冷たいものに触ってやけどのようになる、という意味ではありません。カイロやホットカーペットなど温かいものに肌が長時間触れているとやけどになります。

「低温調理」という言葉があります。食べ物を冷やして料理をするわけではありません。肉などを60~80℃くらいの温度でゆっくり加熱していく調理方法です。同じような言葉で牛乳の「低温殺菌」があります。日本の市販の牛乳はほとんどが60~70℃の加熱で殺菌処理されています。

全然「低温」じゃないですよね。熱いじゃん!

日本語は難しいのです。

さて、話がそれましたが、フリーズドライは「マイナス30度で一気に凍らせる」でしたね。ディハイドレートは「40~60℃でじっくり乾かす」んです

天日干しとは違う?

広い意味では天日干しもディハイドレートなんですが、実際ちょっと違います。

天日干しに近いですが、風の力を利用することで、天日干しより断然早く乾燥できるのが特徴です。時間がかかればかかるほど、食材の質が変わって悪くなり、腐敗やカビの原因にもなります。

その点、ディハイドレートは食材を新鮮なまま乾燥することができるので、天日干しより優れています。

ディハイドレートのメリット

ディハイドレートがローフードと呼ばれるのは、食材に火が通っていないからです。

生の栄養素、特に酵素やビタミンを損ねることなく、ぎゅっと濃縮することができます。

フリーズドライは工場で大掛かりな機械を使わないとできませんが、ディハイドレートは家庭でも簡単に作ることができます。

家庭用のディハイドレートメーカー(ディハイドレーター)がたくさん出ていますね!ブームなんですね!

肉やフルーツなど、ディハイドレートにすると味が濃縮されて美味しくなるんだとか。

ディハイドレートのデメリット

ズバリ、日持ちしません

フリーズドライのように一気に水分をとばしきるわけではないので、「生に近い」状態です。

高温で加熱していないので、カビや雑菌が生えやすく、長期保存には向きません

使う食材の鮮度にも注意が必要です。ディハイドレーターは殺菌効果はないので、そのまま食べられる新鮮なものを使う必要があります。

キャットフードのディハイドレート

猫に必要な生の栄養素がたっぷり

今までのドライフードは高温で処理していたので、酵素やビタミンが失われていました。そのためフード合成ビタミン剤などを添加して補う必要がありました。

オリジンはディハイドレートを取り入れることで、素材の栄養を生かし合成添加物を減らす工夫をしているのがわかります。

より自然に近い栄養素の方が吸収されやすく、猫の体にも良さそうですよね。

猫だけでない!ドッグフードにもディハイドレート

調べてみると、オリジンはドッグフードにもディハイドレートを取り入れています。

以下はオリジンのドッグフード「オリジナル」の原材料表示です。

新鮮鶏肉, 新鮮七面鳥肉, 新鮮イエローテイルカレイ, 新鮮全卵, 新鮮丸ごと大西洋サバ, 新鮮鶏レバー, 新鮮七面鳥レバー, 新鮮鶏心臓, 新鮮七面鳥心臓新, 新鮮丸ごと大西洋ニシン, ディハイドレート鶏肉,ディハイドレート七面鳥肉, ディハイドレート丸ごとサバ, ディハイドレート鶏レバー, ディハイドレート七面鳥レバー, 丸ごとグリーンピース, 丸ごとシロインゲン豆, 赤レンズ豆,新鮮チキンネック,新鮮鶏腎臓, ピント豆, ヒヨコ豆, グリーンレンズ豆, 鶏肉脂肪, 天然鶏肉風味, ニシン油, 粉砕鶏骨, 鶏軟骨, 七面鳥軟骨, ドライケルプフリーズドライ 鶏レバーフリーズドライ 鶏レバー, フリーズドライ七面鳥レバー新鮮丸ごとカボチャ, 新鮮丸ごとバターナッツスクワッシュ, 新鮮ケール, 新鮮ホウレン草, 新鮮カラシ菜, 新鮮コラードグリーン, 新鮮カブラ菜, 新鮮丸ごとニンジン, 新鮮丸ごとリンゴ, 新鮮丸ごと梨, カボチャの種, ヒマワリの種, 亜鉛タンパク化合物, ミックストコフェロール(天然酸化防止剤),チコリー根, ターメリック, サルサ根, アルテア根, ローズヒップ, ジュニパーベリー, 乾燥 ラクトバチルスアシドフィルス菌発酵生成物, 乾燥 プロバイオティクス発酵生成物, 乾燥 ラクトバチルスカゼイ発酵生成物.
オリジン公式サイトより

気になりますね!!

ディハイドレートが使われているフードを選ぶときの注意点は?

  • 新鮮な食材を加工しているか
  • 自社工場で加工しているか
  • 小袋で購入できるか
  • 正規販売であるか、並行輸入品ではないか
  • 保存料の有無

先ほども書きましたが、ディハイドレートはカビや雑菌に汚染されやすいので、新鮮な食材を新鮮なうちに加工しているかがポイントです。

私たちのDogStar®キッチンは、ケンタッキー州の肥沃な農地と緩やかな草原、アパラチア地域の牧場地といったダイナミックな農業地域の中央に位置しており、私たちのフードのインスピレーションとなりました。そして、私たちは、私たちのパートナーであるこの地域の専門農場から新鮮な原材料を入手します。
私たちがよく知り信頼できる人たちによって、責任をもって飼育されたり漁獲された地域の新鮮な原材料が、弊社のキッチンに毎日搬送されます。
実際、私たちの新鮮な肉は、人間用食材として認定を受けており、通常3日以内に農場からキッチンまで搬送された後、2日以内にオリジンフードに使われます。
オリジン公式サイトより

オリジンは食材の鮮度にもこだわっているようです。安心です。

でも、いくらメーカーがこだわっていても、食材のディハイドレート加工を他社に委託していては意味がありませんよね。

そのため、私たちは、オリジンを弊社のキッチンで調理します。このキッチンでは、食品安全工程が厳しく確かであることを保証するために、フードの開発から原材料の確保に至るまで、全ての詳細を手掛けます。弊社のキッチンは、アメリカ合衆国農務省(USDA)やアメリカ食品医薬品局(FDA)、カナダ政府、欧州連合(EU)などを含む厳しい標準に見合っています。
私たちのDogStar®キッチンでは、オリジンとアカナのみを調理します。他社のためのフードを作りませんし、私たちのフードを他の誰かに製造させることを認めません。私たちは、製造方法に決して妥協はしませんし、あなたもそうされると確信しています。
オリジン公式サイトより

これなら大丈夫そうです。

ディハイドレートは長期保存に向かないので、小袋での購入がおすすめです。

正規販売品は航空便で空輸されてくるのに対し、並行輸入品はコストの安い船便が多いです。船便は時間がかかるので、せっかくのディハイドレートが損なわれてしまいますので、注意が必要です。

保存料にどういったものが使われているかもポイントです。せっかく動物の健康を考えてディハイドレートを選んでも、日持ちしないからといって保存料だらけでは意味がありません。オリジンフードにはミックストコフェロール以外は使われていないようです。

ディハイドレートが使われているフードを購入したら

ディハイドレートは日持ちしないので、密封容器に入れて冷蔵庫で保存がベストです。

開封後はなるべく早く食べきるようにしましょう。

自宅でディハイドレートを作ってみるのもありです

新鮮なささみなどを使って、自家製ディハイドレートおやつを作ってみるのも良いと思います。

ワンコの記事を見つけましたが、ニャンコにもありだと思います。

食材の鮮度には十分注意してくださいね!

オリジン「キャット&キトゥン」の評価

ニャン太の評価
メーカーのこだわり
(5.0)
メーカーの信頼度
(4.5)
フードの安全性
(4.5)
食いつきの良さ
(5.0)
コストパフォーマンス
(3.0)
総合評価
(4.0)

とても高評価ですが、オリジンは値段が高いのが難点ですね…

なぜか公式で買うと特に高いです笑

Amazonなどで正規品を買うのがおすすめです。

今回はよもぎくんに美味しく食べてもらいました。

よもぎ

美味かったぜぇ!!

まとめ

ディハイドレートはぎゅっと栄養が濃縮されている。

日持ちしないので保管に注意。

家でも手軽に作れる。

ワンコ、ニャンコもうれしい!

これからこういうフードが増えていきそうですね。

おつきあいありがとうございました。

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