FDAがペットフードに警告。リコールも。見えてきた日本のペットフード事情

キャットフードを食べる猫

こんにちは、獣医師のニャン太です。

アメリカ合衆国の食品医薬品局(FDA)によると、今年に入ってアメリカ全土でサルモネラ菌に汚染されたペットフードのリコールや販売中止が15件ありました。

ドライフードやフリーズドライのおやつなどです。ドッグフード、キャットフードどちらも含まれます。

2012年にも大規模なリコールがあり、そちらはネット上でも日本語の記事がいくつか出ていましたが、今年の新しい情報は全くなかったので、以下にまとめてみました。

recalls & withdraws|US Food and Drug Administration

04/17/2018 TRUDOG Pet food-freezed dried raw beef topper potential to be contaminated with Salmonella TruPet, LLC
04/16/2018 Vital Essentials® Dog/pet food Freeze-Dried Beef Toppers and Frozen Beef Chub potential to be contaminated with Salmonella Carnivore Meat Company
04/14/2018 Sunseed Vita Prima Sugar Glider Formula It has the potential to be contaminated with Salmonella Vitakraft Sun Seed Inc
03/26/2018 Natural Selections and ZooLogics Fresh raw meals for dogs May contain Salmonella and E. coli O128 Darwin’s Natural Pet Products
03/26/2018 Blue Ridge Beef Complete raw pet food May contain Salmonella and Listeria monocytogenes Blue Ridge Beef
03/06/2018 Tucker’s 5lb Pork-Bison Box Potential Salmonella contamination Raw Basics, LLC
03/06/2018 Redbarn, Chewy Louie, Dentley’s, and Good Lovin’ Bully Stick dog food Potential contamination with Saslmonella Redbarn Pet Products, LLC
03/02/2018 Steve’s Real Foods Raw frozen dog food turkey canine recipe potential to be contaminated with Salmonella Steve’s Real Foods
02/24/2018 Vital Essentials Freeze-dried beef nibblets for dogs Potential to be contaminated with Salmonella Carnivore Meat Company
02/23/2018 TruDog Dog food Salmonella TruPet, LLC
02/15/2018 Smokehouse Dog treats Potential Salmonella contamination Smokehouse Pet Products, Inc.
02/13/2018 ZooLogics and more ZooLogics Duck with Vegetable Meals for Dogs, ZooLogics Chicken with Vegetable Meals for Dogs and more Salmonella and Listeria monocytogenes Arrow Reliance Inc. dba Darwin’s Natural
02/09/2018 Redbarn Dog Chews Potentially contaminated with Salmonella Redbarn Pet Products
02/08/2018 Raws for Paws Ground turkey pet food potential to be contaminated with Salmonella Raws for Paws
02/08/2018 Smokehouse Dog treats Potential Salmonella contamination Smokehouse Pet Products, Inc.

Recalls & Withdrawals|Animal & Veterinary|US Food and Drug Administration より

最近ではペットフードの並行輸入や個人輸入が増えています。決して他人事ではありませんよ。

いつなんどき、あなたが買っているフードが問題にさらされるか分かりません

ニャン太MEMO

recall(リコール)とは、行政や消費者の要請により、法律や法令に基づき企業が無償で商品を回収することを意味します。

withdraw(ウィズドロー)とは、企業や販売店が自主的に商品の回収や撤去を行うことを意味します。

withdrawは自主回収とも訳せますが、日本では自主回収がリコールと重複する場合もあるので、今回は少し意訳ですがあえて販売中止と訳します。

日本ではペットフードのサルモネラ菌汚染とか、ペットフードのリコールとかってあまりなじみがありませんよね。海外の話題でさえ、ほとんどニュースにもなりません。

これは日本の国産フードや輸入フードがとても安全な証拠かというと、実はそうではありません

今回はFDAのリコールのニュースから見えてきた、日本のペットフード事情の問題を書いていきます。

ペットフードとサルモネラ菌汚染についてはこちらの記事に書きました。

フードを食べようとする猫ペットフードの食中毒。日本で知られていないサルモネラ菌汚染とは

では、いってみましょう。

 

食品医薬品局(FDA)とは

以降、日本とアメリカのペットフードの管理体制の違いと、国産ペットフードの問題点を指摘していきたいと思います。

FDAって何?

アメリカ食品医薬品局(US Food and Drug Administration;FDA)とはアメリカ合衆国保健福祉省(HHS)に属する政府機関です。

食品、医薬品、化粧品、タバコ、おもちゃなど消費者の生活と健康にかかわるものを強い権限で独立して管理する行政機関です。

今まで無秩序だった食品や医薬品の品質の管理は、アメリカで世界に先駆けて議会で話し合われてきました。

その結果誕生したのがFDAです。

日本の100年先を行くアメリカの消費者行政

企業の利益ではなく、消費者の安全を優先に行政が管理する必要性が問われたのです。これを「消費者行政」と呼びます。

アメリカでは、1900年代初めからこの消費者行政への取り組みがされてきました。

1906年に制定された「連邦食品・医薬品法」により、連邦政府の農務省化学局が消費者行政の権限を持つことになりました。

1930年、農務省化学局は食品医薬品局(FDA)と名前が変わりました。

ちなみに日本で消費者行政を担当する消費者庁が設置されたのは2009年のことです。

なんと日本はアメリカに100年も遅れをとりました

飼い主目線でFDAの何がすごいのか

FDAのすごいところは、動物福祉の観点からペットフードやペット用医薬品も人と同じように管理していることです。

たとえばペットフードによるペットの健康被害が確認された場合は、FDAはメーカーにリコールを命じることができます

えっ!?それって当たり前じゃないの?

と思われるかもしれませんが、残念ながら私たちの住む日本ではそれが当たり前ではありません

見ていきましょう。

日本でペットフードのリコールが起こらない理由。国産フードは安全なのか

猫とキャットフード

日本ではペットフードのリコールがない

実は日本ではペットフードのリコールが起こったことはありません

これだけ聞くとやっぱり国産は安心だな、なんて思われるかもしれませんが、本当にそうでしょうか。

こんなにたくさんのペットフードが流通しているのに、全部の商品が大丈夫なんてことあるでしょうか。私は不気味さを感じてしまいます

あの中国産メラミンが欧米で話題になった2007年の事件の時も、日本では普通にペットフードが流通していました。

でも、そんな日本でペットフードのリコールが起こらないのには別の理由があるんですよ。

見ていきましょう。

残念な日本のペットフード事情

飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律

草を食べる牛

日本には1953年から「飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律」という法律があります。

飼料=動物の餌ですよね。安全の確保や品質の改善なんて、いかにも良さそうなことが書いてあります。

でもペットフードはこの法律の飼料には含まれません。

この飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律は、「いずれ人間が食べるための動物の餌」のための法律です。

つまり、「人間が食べるための動物の食事は、しっかりと品質を管理しましょう」ということです。

ここでいう「飼料」は残念ながらペットフードのことではありません

愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律

2009年から日本でもようやく、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律ペットフード安全法)」という法律が施行されました。

ドッグフード・キャットフードの安全性を確保することを目的とした法律です。農林水産省環境省合同で管理することになっています。

メーカーへの立ち入り調査と改善指導がメインです。

さらにこの法律には、農林水産大臣や環境大臣がペットフード業者にリコールを命ずることができると書かれています。

ぱっと見良さそうなんですが、実際の内容は非常に残念なものです。

  • ペットフードの安全性に関する責任を農水省・環境省のうちどの部署が担当するのか明記されていない
  • 企業への立ち入り調査と改善指導がメインなのに、その具体的な調査機関が明記されていない
  • 実際にペットの健康被害があった場合に対応する行政機関が明記されていない
  • 消費者(飼い主)の意見(クレーム)を受け付ける窓口がない
全然だめですね。これでは完全に農林水産省と環境省の責任のなすりつけ合いです。

私がこの法律を見る限り、日本では行政によるペットフードのリコールは起こらないだろうなぁ、と思ってしまいます。

形式的に決まっているだけですね。

日本にはペットフードによるペットの健康被害を担当してくれる行政機関がない

こうして見ていくと、日本にはペットフードによるペットの健康被害に対応できる行政機関がありません。

消費者庁はペットフードに関する権限がありません。

農林水産省や環境省は責任のなすりつけ合いです。

つまり、もしあなたのワンコさん・ニャンコさんが具合が悪くなり、それがペットフードが原因だと分かっても、日本の行政は対応してくれないということです。

どんなに悪いペットフードがあっても、日本ではリコールなんか起こりません

まとめ

アメリカでは定期的にサルモネラ菌汚染によるペットフードのリコールがあります。

一方日本では、ペットフードのリコールがありません。

国産のペットフードが安全というわけではなく、日本のペットフードの管理体制が穴だらけなのが問題です。

現行法では、たとえ犬猫の健康被害が起こっても、行政によるペットフードのリコールは起こらないでしょう。

日本はペットの食の安全意識で欧米におくれをとっています。

この体制は、今後変えていかなくてはなりません。

おつきあいありがとうございました。

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