で、結局妊娠糖尿病ってなぜ血糖値が下がらないのかという話

妊娠糖尿病ってこういうことです!

こんにちは!獣医師のニャン太です!

私の妻は妊娠12週でつわりの真っただ中に妊娠糖尿病と診断されました。

今では妻が妊娠28週を迎え、血糖値が上がりやすい日が増えてきました。

あらためて妊娠糖尿病とは何なのか、考えていきたいと思います。

「妊娠糖尿病」?名前変えたほうが良いんじゃね?

妻が妊娠糖尿病と診断されて以来、常々思うことがあります。それは妊娠糖尿病は病気ではない。糖尿病ではない。ということです。

これ、とっても重要です。

赤ちゃんを授かるのはとても素敵なことです。でも妊娠すると、女性の体には様々な変化が起こりますよね。

おなかの中で別の命が成長していくわけですから、当然のことです。

つわりが重い軽いと同じように、血糖値が基準を超える人超えない人が出てきます。

「気持ち悪い・食べられない・吐く」は「吐きづわり・悪阻」で普通のことなのに。どうして「血糖値が上がりやすい」は「糖尿病」なんて名前を付けていかにも病気!といった扱いをしてしまったのでしょう。

つわりもひどければ、点滴したり薬飲んだり入院したりしますよね。母体と胎児を守るためです。

血糖値だって妊娠すると誰でも上がるんです。

それに基準値をつけて、あまり上がりすぎてしまう場合は母体と胎児の安全のために対策しましょう、というだけなんです。

それなのに血糖値が高いからって「糖尿病」なんて、安易な名前をつけたものです。

おなかの赤ちゃんが元気に育っている証拠ですからね。

さて、前置きが長くなりましたが、本題のまとめに入ります。

妊娠すると血糖値が上がりやすくなる。いえ、下がりにくくなるんです

妊娠するとなぜ血糖値が上がりやすいのか。

それは「おなかで赤ちゃんを育てるため」です。

正確に言うと「上がりやすい」ではなく「下がりにくい」です。

おなかの中で赤ちゃんが大きくなるのは、ものすごいエネルギーを消費します。

目に見えないちっちゃな卵だった赤ちゃんは、10億倍の大きさになって産まれてきます。

たった1つの受精卵が60兆個と言われる人間の細胞になっていくんです。

1,000,000,000倍とか60,000,000,000,000個とか数字にするとゼロが多すぎて、もうわけがわかりません。

そんなわけのわからない膨大なエネルギーを支えるために、お母さんの体はせっせとおなかの赤ちゃんにエネルギー源の「ブドウ糖」を運ぶんです。

だから「血糖値=ブドウ糖」を下げないように体がはたらきます。

では、そのはたらきの流れを見ていきましょう。

妊娠すると胎盤が作られる

妊娠すると女性の体ではまず羊水を作って子宮を大きくしていくのと同時に、赤ちゃんのライフラインである「へその緒」とそれを支える「胎盤」が作られていきます。

胎盤から赤ちゃんを守るホルモンがたくさん出る

胎盤からは赤ちゃんを守るホルモンがたくさん作られます。

hCG、hPL、プロゲステロンなどがあります(生産期が近くなるとエストロゲンも多く作られます)。

ホルモンが増えると血糖値が下がりにくくなる

胎盤が作るホルモンの中でも特に、hPLやプロゲステロンは赤ちゃんを育てるエネルギーを確保するために、血糖値を下げるインスリンのはたらきを抑えます。

「へその緒」を通って赤ちゃんへと運ばれた血糖値=ブドウ糖は、赤ちゃんのインスリンによってエネルギーになり、赤ちゃんが大きくなれるのです。

妊婦さん

私の分は使わないようにするから、大きくなってね!!
ありがとう、ママ!

赤ちゃん

それでたまたま基準値を超えてしまうと妊娠糖尿病

こうしてみていくと、全然病気の要素がありませんよね。いや、むしろめちゃめちゃ正常。

血糖値の上がりやすさに個人差があるだけです。

ただし、高すぎる血糖値が続いてしまうと、母体や胎児に悪影響が出てしまいます。

現代の私たちの食事情では簡単に効率よくエネルギーのもとになるブドウ糖を摂取することができます。

どなたでも「気を付ける」必要がありますね。

血糖値が高いと母体や胎児にどんな悪い影響が出すのか

では、どんな悪影響があるのかを見ていきましょう。

母体「膵臓が疲れてしまう」

膵臓(すいぞう)というのは体の中で血糖値を下げるインスリンを作るたったひとつの臓器です。

血糖値が上がれば、インスリンが膵臓からたくさん作られます。

インスリンはノンストップで無限に作れるわけではなくて、ある程度頑張ると膵臓は疲れてしまいます。

胎児「大きく成長しすぎてしまう」

エネルギーがたくさんあってすくすく育ってくれるのは良いのですが、多すぎてもいけません。

当然、成長に必要以上のエネルギーが供給されれば、おなかの赤ちゃんはどんどん大きくなってしまい、巨大児のリスクが高くなります。

赤ちゃんが大きくなりすぎれば、難産や早産、産後のトラブルも多くなりますよね。

胎児「生まれた後に低血糖を起こす」

お母さんからたくさん血糖値=ブドウ糖が送られてくると、赤ちゃんは一生懸命それをエネルギーに変えようとしてインスリンをたくさん作ります。

インスリンをたくさん作ることに赤ちゃんの体が慣れてしまったまま、お母さんのおなかの外に出るとどうなるでしょう?

栄養源から切り離されてもまだインスリンをたくさん作ってしまい、低血糖を起こしてしまうかもしれませんね。

まとめ。いや、分かったところでストレスはストレス

そうですね。

「妊娠糖尿病」と言われるだけで、日常のストレスがかなり大きくなります。

食べたいものが食べられない。血糖値を毎日測らないといけない。病院に頻繁に通わないといけない。

頭ではわかっていても、半端じゃないストレスが襲ってきますよね。

だから、ご家族や周りの方の理解とヘルプが必要になります。

少しでも多くの人に情報を伝えられるよう、記事にしてみました。

おつきあいありがとうございました。

2 COMMENTS

さなおじんぐ

はじめまして。突然コメント失礼致します。【妊娠糖尿病】で検索しているうちにたどり着きました。

横浜でドッグトレーナー兼犬の幼稚園&ホテルを経営しながら、今年5歳になる長男を育てつつ、2人目妊娠中の者です。
今回は高齢出産にかかり、31週にして初めて【妊娠糖尿病】と診断され、現在33週になります。奥様とは予定日は近いかもしれません。12週での妊娠糖尿病診断からの継続は本当に辛いと思います。。

私はまだ、診断されたばかりで、血糖値測定も食前4回➕就寝前のみですが
炭水化物を抜こうと、子供を寝かしつけたあと懐中電灯持ってウォーキングに出ようと、朝食前と就寝前の血糖値が全く下がりません。(就寝前は特に酷い)

血糖値測定も1日置きですが、元々炭水化物や糖質が大好き(ただし低血圧気味、BMI18未満)にも関わらず、口にする事に恐怖すら感じる様になっています。

上の子がまだ幼く、平日はほぼワンオペです。仕事や子供関係のお付き合いでの外食も多く、食事内容、測定時間や測定方法に四苦八苦しています。

また、前回の妊娠では何も無かったので、家族や周囲、職場での理解が、なかなか追いつかず、自身も上手く説明理解できないまま、食事と測定結果のストレスに振り回されていました。

先生のブログを拝見し、【妊娠糖尿病
】は病気では無いとの名言に、思わず涙しそうになり、旦那や親にシェアさせて頂こうと思います。

奥様は、理解ある旦那様にご協力頂いて幸せですね!
チビ君に無事に逢える日が待ち遠しいですね
妊娠初期から妊娠糖尿病と闘ってきた奥様に尊敬の意をお伝えしたく存じます。

子育ては産後からがスタートですが
まずは母子ともにご無事のご出産、心よりお祈り申し上げます。

突然、長々失礼致しました。

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獣医師ニャン太

さなおじんぐさま。
コメントありがとうございます。

31週からの妊娠糖尿病の管理ということで、不安や戸惑いもひときわ多いことかと思います。妊婦さんでありながら、ワンオペで家事や幼いお子様の育児に、お仕事までされて、それだけでも十分に大変でしょうに、その上血糖値も気にしないといけないなんて、どんなにおつらいことでしょう。

そんな中でも、お食事に気を配ったり、ウォーキングを取り入れられたりと、一生懸命に妊娠糖尿病の管理に取り組んでいらっしゃるなんて、本当に頑張って、努力もされているのですね。すごいです。

実は痩せていらっしゃる方のほうが、血糖値の管理が大変だったりします。
また、体の疲れやストレス、睡眠不足なども血糖値が下がりにくい原因になってしまいますので、どうかご無理なさらずお身体を大切にしてください。

以前のようにお食事が楽しめるようになると良いのですが……。なかなか難しいですよね。私の妻も少し前まではお米食べたくないとよく言っていました。

元気な赤ちゃんが産まれますよう、心からお祈りしています。
妻は明日で34週に入ります。お互いラストスパート頑張りましょうね!

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