こんにちは!
獣医師のニャン太です!
犬の避妊手術をお考えですか?
始めて動物病院にかかる、なんて方もいらっしゃるかもしれませんね。
避妊手術はどこの動物病院で受けても同じだと思ったら大間違いです!
そこで今回は犬の避妊手術の予約を入れる前に、やってはいけない病院の選び方をまとめました。
お金の話も出てきますが、今回は私ニャン太が頑張って書きましたよ!
目次
やってはいけない①料金だけで選ぶ
私は都内の動物病院で仕事をしていますが、犬の避妊手術について「料金だけ」の問い合わせを受けることが良くあります。
料金だけ調べて回って、安いところで予約を入れるのでしょうか。
もちろん少しでも費用を抑えたいという気持ちはとても分かりますが、「手術費用が他より安いのは何故か?」をしっかり考える必要があります。
手術費用は技術料だと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そうではありません。
私が5kgくらいのワンコさんに、その子のことを思って最低限今できるベストな手術をしてあげようと思った場合、コストがどれくらいかかると思いますか?
手術費用の大部分は消耗品、設備費、人件費(のはず)
私が最低限、これは使ってあげたいと思うものを挙げてみました。
麻酔薬の薬価:650円
鎮痛剤の薬価:3428円
抗生物質の薬価:42円
制吐剤の薬価:198.5円
点滴関連:435円
メス刄:46円
気管チューブ:1864円
手術で使用する糸:2808円
術前の血液検査の消耗品:925.6円
グローブやドレープ:335円
合計10732.1円
実際の手術では、これに機械のランニングコストや、施設の維持費が加算されます。
動物病院は医療機器のかたまりなので、まともにやろうと思うと、何もしなくても年間でものすごい維持費がかかります。
それぞれの機器には「保守」という制度があり、いつでも確実に安全に使えるための定期点検やメンテナンスを行います。
最低限の機器でも、ちゃんとやろうと思うと1000万クラスの保守費用がかかります。
動物病院には国からの補助金などないので、いくら良い機器を導入したとしても、すべて病院の「自費」です。
それに手術は人員が拘束されてしまうので、人件費もかかりますね。
地域や病院の体制にもよりますが、これで合計3万くらいにはなります。
その上、病院の利益や執刀医の技術料をとろうと思ったら、いったいいくらになるでしょうか?
よく考えてみてください。
赤字覚悟で犬の避妊手術をやっている良心的な病院だけが価格が安いわけではありませんよね。
安いのには安いなりの理由があるんです。
少し余談ですが、最近ホームページなどで「血管シーリングシステム」を導入したという動物病院増えてきているのをご存知ですか?
これは体の中に糸を残してこないで手術ができる画期的なシステムです。
実は私も使っています。
このシーリングシステム、まともに保守に入ると数年で新品が買えるくらい高いです。
さらに、数万円のプローブが、再使用禁止で使い捨てです。
たかだか4~5万円の避妊手術に、どうして多くの病院がこのシステムを導入するのか不思議じゃないですか?笑
繰り返しになりますが、人の医療機関と違い、動物病院はいくら良い機器を導入しても、助成などは一切ありませんので、飼い主さんの支払う金額で全てまかなっています。
料金だけで避妊手術の予約をしてしまうと、見えないところで大切なことがなおざりにされてしまうのかもしれません。
やってはいけない②口コミサイトで選ぶ
最近、動物病院の口コミサイト、増えてきていますよね。
初めて動物病院にかかる場合、その動物病院の評判が良いか悪いか気になりますよね?
だから口コミサイトってありがたいような気もするんですが、全部のサイトが良心的なサイトとは限りません。
動物病院の口コミサイトは情報操作されている
逆の立場になって考えてみてください。
新しい飼い主さんが口コミサイトを見て動物病院を判断するのなら、そこに良いことがたくさん書いてあったほうが病院としては有利ですよね。
料金が高いとか、手術がヘタだとか書かれていたらどう思いますか?
見てもらいたくないですよね。
多くの口コミサイトは、書かれた口コミを運営側が削除できるようになっています。
だから、動物病院に不利になる口コミがあったとしても、病院が頼めば削除してくれます。
サイトの運営者にとって、多くの飼い主さんに「このサイトで調べて来た」と言ってもらったほうが、サイトの価値が上がって得だからです。
もっとたちが悪いケースだと、「口コミ書きませんか?」と、お金を払ってコメントを作る作業を委託している場合があります。
実際にその動物病院にかかっていないのに、さも良かったような口コミが書かれている場合もあるんです。
私は、正直口コミサイトは現状見ないほうが良いと思っています。
やってはいけない③遠くの動物病院を選ぶ
いくらその動物病院が良いからと言って、あまりに家から遠い病院で、犬の避妊手術の予約を入れてはいけません。
避妊手術は、退院したらおしまいではありません。抜糸して傷がいえるまでは、ご自宅でのケアが必要になります。
いくら最新の注意を払ったとしても、人がやる医療に完璧はありませんし、生き物に絶対はあり得ません。
「万が一」なにか術後にトラブルがあった場合、すぐに対応してもらえるように、ある程度近くて通いやすい動物病院を選んだほうが良いでしょう。
かしこい避妊手術の予約の仕方は?
実際にその病院に行ってみて、先生と話をして、それで決めるのが一番です。
分からないことをしっかり確認して、信頼関係のもとで手術にのぞめるのが理想ですよね。
動物病院って、正直いきなりはなかなか入りづらいかと思います。
だから、飼い主さんがもっと、避妊手術の前にでも、初診でも、元気な子犬のうちでも、もっと気軽に立ち寄れる病院づくりは、今後私たちの課題なんですよね!
そのためにも、分かりやすい動物医療、透明性のある動物医療を常に心がけていかなくては、と毎日思い続けるニャン太です。
お付き合いありがとうございました。